高齢者の高額療養費制度負担増加を考える
日本は、他の国に先駆けて、急激に高齢化しています
医療、看護、介護では、2025年には、団塊世代が75歳以上の後期高齢者になるという、「2025年問題」について、ずいぶん前から話題となっています
高齢化が進むことによって、医療費などの社会保障費が増大し続け、日本の財政を圧迫していますが、これは皆保険であること、医療費の補助等が確立されている国だからです
素晴らしいことなのですが、その素晴らしさゆえに、財政が圧迫されています
高齢化がどれくらいすごいかと言うと、
1950年には、1人の高齢者を12.1人の現役世代(15~64歳)が支えていました
2012年には、1人の高齢者を2.6人の現役世代が、
2060年には、1人の高齢者を1.3人の現役世代が支える予測になっています
年金制度の破たんが言われてから長いですが、医療制度の現行維持なんて、絶対できそうにありません
2016年度当初予算では、社会保障費が約32兆円で3分の1を占め、1990年と比べると約3倍にも膨らんだ。社会保障費が毎年1兆円規模で増加している中、社会保険料収入は横ばいで推移しているため、その多くは税金と借金で賄われている。(東洋経済on line 2017.2.16)
社会保険料の収入が増えないのは、少子化問題も関係するでしょうし、正規雇用ではなく、非正規雇用、フリーターが増えたことも関係あるのでしょうか
少子高齢化は今後も進むでしょうし、人口減にもなっていきます
医療費の年齢別での負担では、70歳以降に生涯の医療費の約半分がかかり、75~79歳でピークを迎えるそうです
そこで、今年夏から変わるのが、まず高齢者の高額療養費制度の増額です
高額療養費の負担限度額とは、医療費が多くかかった時に、患者の本人負担に毎月の限度額を設定している仕組みです
複数の疾患を持ち、医療費がかかりがちな70歳以上の高齢者には、所得に応じて、外来費や入院費で限度額が設定されています
今年から、70歳以上の現役並み所得者(年収370万円以上)は、外来費の負担限度額について、現在の月4万4400円が月5万7600円に上がり、2018年8月には月8万円以上へと引き上げられます
住民税非課税の低所得者(年収156万円未満)は、負担増がなく維持されるそうです
支払う保険料に関しても変更があり、75歳以上の後期高齢者医療保険の保険料に関しても、負担を軽減している特例が変更されます
年収153万~211万円で一定の所得のある人向けには、現在の5割軽減から、2017年には2割軽減、2018年には軽減措置自体がなくなる予定です
私は、70歳以上の現役並み所得者(年収370万円以上)の負担増については、当然だと思っています
年収370万円を稼げない若者なんて、今の時代、たくさんいると思います
その反面、高齢化が進み、元気な高齢者が増え、仕事を継続できている方も多いのですから、やっぱり払っていただかなくてはいけないでしょう
国会議員、地方議員なんて、70歳以上がゴロゴロいて、稼いでいるんですから、ものすごくいっぱい徴収していただきたいくらいです
そして、整形外科や内科のクリニックが高齢者のサロンとなっている、と言われ続けていますが、過剰な医療、過剰な検査に対しての引き締めは、どんどん国にやっていただきたいことです
2016年2月のニュースで、
という記事がありました
政治家というのは当然のことながら自分を支持し、投票してくれる層を重視します
2012年の調査では、有権者の割合は、20歳から49歳で49%、その年代の投票率は42%だそうです
投票者の平均年齢は50歳代後半と言われてますから、どうしても支持層を考慮し、高齢者に温かい政策をとろうとする政治家が選ばれてしまいそうです
後回し、後回しできた年金制度ですが、高額療養費制度も破たんする前に、早い段階でどんどん改正してほしいと思います