継続は力なりと思う看護師の日記

思えば長く続けている看護師というお仕事、研究、そのほかについて書こうと思います

「看護学生入れ墨裁判」を考える

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看護専門学校で入れ墨を理由に休学処分になったのは不当だとして、
20代の女性が学校を運営する医療法人に約540万円の損害賠償を求め、東京地裁に提訴した。
医療法人側は争う姿勢を示した。

 

背中などに入れ墨があることを教員に告げたところ、6月下旬から1年間の休学処分とされた。
処分の通知には、入れ墨を消せば、復学を認めると書かれていたという。女性側は、

「入れ墨を消すには200万円かかり、子育てをしながら費用を捻出するのは極めて困難。 事実上の退学処分だ」と主張。

入学資格に「入れ墨がないこと」との規定はなく処分は不当だと訴えた。

 

朝日新聞デジタル 2/7(火) 配信

 

 

うーーーーん

入学資格に入れ墨がないこととの規定はなく・・・というところが弱いのではないかと思いました

 

この提訴の理由として、

若い人の間でタトゥーはファッションとして認知されており、外国人看護師を受け入れている日本で、日本人にのみ入れ墨によって看護師への道が閉ざされる、というのは不当である、

くらいなら、今の社会的通念が争点になって、それはそれで興味がある事案ではあります

 

入学資格に規定はなく、だと、

多分、鼻ピアスや眉毛そり落とし、スキンヘッドなども入学資格の規定にないと思うので

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こんな看護師とか

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こんな看護師とか

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看護学校に入学してから入信して、宗教上の理由でブルカを着せろという学生とか出てきそう

 

入学資格の規定にないから認めろ、というのは無理があるような気がします

 

日本ではまだ、入れ墨=カタギでないイメージがつきまといます

 

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こんな手の看護師さんに点滴されて、それが失敗したら、

「ちゃんとした人呼んできて」

と言いたくもなるでしょう

 

背中の見えない小さなタトゥーならいいとすれば、じゃあ肩はダメなのか、腕はどうだ、足はどうだ、あのタトゥーが良くて、これがダメな理由は何だ、とモメる原因になります

このような裁判がおこるくらいなのですから、ダメはダメときちんと決めてしまった方が分かりやすいです

 

入れ墨に関しては、社会通念上の判断、ケースバイケースということで、その提訴された看護学校が入れ墨はダメだと判断すれば、ダメだということでいいのだと考えます

多分、学校によっては大丈夫なところもあるでしょう

けれども、消すのに200万円かかるというのは、高須クリニックのHPで見てみますと、ハガキ大で60万円、と書いてありますから、かなり広範囲の入れ墨のようです

 

例えば実習で入浴介助をすると、汗とお湯で介助着が濡れて入れ墨が透けることも十分にありえますから、看護学校で臨床実習をする場合は個人の問題では済まなくなります

 

看護師さんの入れ墨としては、大阪の事件が有名です

2015年、大阪市が入れ墨の有無を尋ねた調査への回答を拒んで戒告処分を受けた市立病院の看護師さんがいました

その看護師さんが処分取り消しなどを求めた訴訟です

 

一審・大阪地裁判決は、この調査について「市の個人情報保護条例に違反する」として、処分を取り消した。二審判決は、入れ墨を市民の目に触れさせないため、入れ墨がある職員を把握するという調査目的は正当だと判断。最高裁も上告を退けた。朝日新聞デジタル2016年11月11日

 

ことの発端は、児童福祉施設職員が入れ墨を子どもに見せたことで、この問題を受け、職員に記名式の調査を大阪市が実施したものです

 

正直、入れ墨なんかより、接遇のほうがずっと大切だと思っているので、入れ墨をしている看護師にきちんと接遇を指導し習得させられる病院や施設では、入れ墨を問題にする必要はないと思います

スキンヘッドでも鼻ピでも同じで、接遇さえしっかりしていれば、患者さんは、人間としてその看護師を受け入れてくれるのではないでしょうか

 

でも、清楚で清潔感溢れる看護師とでは、初対面からかなりの差がつきますから、受け入れられる努力は必要だと思います

 

それにしても、ネットで検索すれば、

「入れ墨がありますが、看護師になれますか?」

「入れ墨がありますが、看護学校に入れますか?」

看護学校に入りますが、卒業まで入れ墨がバレずにすむでしょうか」

というような質問がたくさんあって驚きました

社会人を経験してから入学する人が増えている影響かもしれません

 

看護学生の提訴については、結果を注目していきたいと思います

 

私としては、看護学校時代に、高齢の元カタギでない患者さんの清拭をして、昔は美しかったであろう背中の般若と牡丹の花が、皮膚のしわとたるみで、原型をとどめていない模様になってしまったのを見て、花一輪のタトゥーでも絶対にしない、シワシワで粉をふくような花を体に抱えるのは絶対にいや、と思ったのを覚えています