最期を自宅で迎えたい~在宅での看取りを考える
「死期が迫っている場合、どこで最期まで療養を送りたいですか?」
という質問に対して、約6割の人が
「できるだけ自宅で療養したい」
と答えています。
さらに、自宅で最期を迎えたいと考える人は8割弱に達しています。
という調査結果は、よく目にします。
「だから、本人の望む場所で最期を迎えられるように、医療者や家族は環境を整えましょう、本人の願いを叶えましょう」
ということになります
国が、入院治療より在宅治療、施設介護よりも在宅介護へと舵を切ったあたりから、それは経済的な理由ではない、本人が望むからそうしよう、と言い出したように思います
在宅介護、在宅療養、在宅での看取りの良さを宣伝し、それを推し進めようとする研修会、学会、ワークショップなどに出る機会がたびたびあります
関わっている医師・看護師・ケアマネなどは「本人の望む最期を迎えてもらうことが出来てよかった、もっと在宅の看取りを勧めていきたい」と本当に思ってらっしゃるようですが、どうしてもひっかかりを感じてしまいます
「最期までの自宅療養が、現実的に困難であると考える理由は何か」
という質問に対しては、約7割の人が
「介護してくれる家族に負担がかかる」
ことを挙げています。
多くの人は自宅で最期を迎えたいのですが、家族に遠慮しているのが現状です。自宅で最期を迎える人が、わずか13.0%しかいない背景には、家族に気を使って自分の本心を明かさないこともあるかもしれません。
そりゃそうです
いくら自分が家で死にたいと思っても、家族の負担を考えるのは当然です
確か、「では実際に自宅で最期を迎えられると思うか」の問いには、「最後を迎えたい」という人よりもずいぶん割合が下がったと記憶しています
現実的な判断だと思います
そもそも、家で看取られるということは看取ってくれる家族がいるということです
看取るということは、終末期の看護、介護を自宅でしてもらうということになります
老々介護と言われて久しいのに、介護だけでなく、病気で終末を迎える方の世話まで高齢者の家族にしてもらうなんて、本人も家族も負担が大きそうです
在宅での看護、介護は、大家族であった時代が前提なのではないでしょうか
今でももちろん4世代家族の同居、という家もあります
介護・看護の人手が常に5~6人は確保され、主介護者に身体的・精神的負担があまりなく、かえって、世話をする張り合いややりがいを感じられるようなら、医療者は在宅生活を応援するべきだと思います
でも、今の時代にそのようなご家庭がどれくらいあるのでしょうか
しかも、今は晩婚化によって、子供を持つ年齢も高齢化しています
自分たちが「家で死にたい」と現実的に考える時期でも、子供はまだ仕事に忙しい時期で、看護・介護に時間を割けません
また、日本でも3組に1組は離婚をする時代ですから、家で死にたくても世話をしてくれる配偶者もおりません
私の住んでるところはかなり田舎ですが、それでも核家族化は進み、人口は減っても世帯数は増えている、独居高齢者が増えている時代で、家族の形態は変化してしまっています
なぜこのように自宅で最期を迎える事が少なくなってしまったのでしょうか。
昔は往診医がいたために安心して住み慣れた家で最期を迎えることができました。
今は往診医も少なく、「急に様態が悪くなったときに不安」「家族に迷惑をかけたくない」
などの不安のため病院にいるほうが安心と考えられています。
確かに積極的な治療は病院でなければ受けることができません。
往診医の問題でしょうか
ズレてるように感じます・・・
昔は確かに往診医は多かったのかもしれませんが、今は開業医よりも病院志向が強いですし、救急車要請年間580万件という時代で、一因に高齢者の傷病数の増加、というのがありますから、往診可能な開業医減少が在宅看取りの減少につながるとはあまり思えません
在宅看取り推進の方々は、たいてい、在宅看取りをして良かったというご家族の例を挙げ、その素晴らしさを語られますが、その反対の例に触れることはほとんどありません
・旦那さんが奥さんを家で看取られた、トイレも最後まで旦那さんが連れて行っておられた。二人暮らしを最後まで楽しまれた
→体の大きな旦那さんだから小さい奥さんを看れたのであって、逆ならムリだろう・・・
・子供も孫もしょっちゅう夫の部屋をのぞいて声をかけてくれた、夫は幸せな最期だった
→三世代同居で、家族関係がうまくいってる例なんて、いったい全世帯のどれくらいなんだろう・・・
もしかしたら自分が意地の悪い捻くれた考え方をしているのか、と思ってしまうほど、在宅看取り、在宅介護を勧める人たちは、人々を好意的に優しく、善意を持って考えているような気がしてなりません
私は両親とも病院で死んでいますが、自分が仕事をしており、大家族でもありませんから、とてもじゃないけど在宅での看取りはできませんでした
しなくて良かったと思っています
自分が死ぬ時も、やはり介護が必要になれば、自宅で最期を迎えるのは難しいと思っていますし、家への愛着はありますが、家で死ぬことは現実的でないと思っています