鈍感力
うちの大学生のお嬢はぼーっとしている人で、よく笑うけれど、寡黙で
温和だけれど、何を考えているかわかりにくく、静かな人です
今日、久しぶりにぼーっとした子だなぁと実感したのは、紅茶を淹れてくれる、と言って準備していた時です
私のと自分のと二人分の紅茶を淹れるために、電気ポットでお湯を沸かし、ガラスのティーポットにティーバッグをいれていたのですが・・・
彼女はガラスのティーポットを前に座って、紅茶がでるのを待ってました
でも、熱いお湯をいれると、普通はすぐにお茶の葉が開いて、茶色い色がお湯に広がるじゃないですか
でも、ポットの中にはただ透明な水があるだけ
水の中にただティーバッグが浮いていました
どうみても、お湯に見えません
湯気も出てないし水滴もない
普通、うちのポットはカチってボタン押さないといけないタイプだし、お湯が沸いたら電気ポットを持った時点でほのかな温かを感じると思うし、電気ポットからティーポットにお湯をいれるときに蒸気でわかるし、水と熱湯の違いなんて自分で扱うとわかりそうなもんですが・・・
というような、ぼーっとしたところは、生活の中でよくあります
よく人間関係で苦労せずにきているなぁと思いますが、どうも、何かあってもあまり気づかないようです
だから、苦手な人間というのもあまりいない
本人も、言われても気づかないという自覚はあるようで、
「友達が、あんな嫌味言われても気にすることないよって、自分に言ったけど、何が嫌味なのかわからなかった」
とか、
「バイトでみんなが苦手だって言う人がいるけど、どこが苦手なのかわからない」
とか、言ってます
だから、人の悪口を言うことが全然ありません
あまり人に興味がないんだろうな、と感じることはあるけれど、友達はそこそこいるようで、飲みに行ったり、旅行に行ったりはしています
相談相手なんかにはならないんでしょうけど、ぼーっとして、ちょっとズレてるけど、意地悪も辛らつなことも言わない友人というのは希少なのかもしれません
ぼーっとしているので、しゃべるのも苦手で、ハキハキもしてませんし、しゃべっている途中で何が言いたいかわからなくなるようです
今年は就職試験の年でした
学校での実験や実習が面白かったらしく、大学院へ進学する予定でしたが、ここなら入ってみたいな、と思う会社を数社受けていました
集団面接のところなどは、一言もしゃべれなかった、とか、考えているうちに他の学生に横入りされた、みんなアピール半端ない( ゚Д゚)と驚いてました
ひとつの会社だけ最終面接まで残って、重役との面接になった時に、
「あなた、本当に話すのが苦手なんですね。大学院に進学するために、面接試験の練習をしてこなかったというのがよくわかります。少しでも練習していたら、今までのような受け答えはないと思いますが、自分の言葉で話してたので、それはそれで良かったと思います」
と、言われたそうです
よどみなく話す、ステレオタイプの学生の回答に慣れていると、かえって印象に残るのかもしれません
最終面接では何を質問されたのか、と尋ねると、
「入職後の抱負をきかれた」とのことで、なんて答えたの?って尋ねると
「わかんなかったから、頑張りまぁす!って言って、ガッツポーズした。
でも、ちゃんと笑顔で(^^)/ 」
とのことで、この人を採用した会社はすごいなぁと思いましたが、メンタルが強いこと、人間関係に苦労しないこと、真面目でコツコツやること、身体的に丈夫なことなどは、今の時代の企業にとっては高く評価されてもいいと思うので、その点を見てもらっての採用だったらいいなぁと思います
いつも敏感で鋭くある必要はない。特に人との交わりにおいては、相手のなんらかの行為や考えの動機を見抜いても知らぬ風でいるような、一種の偽りの鈍さが必要だ。
また、言葉をできるだけ好意的に解釈することだ。
ニーチェ先生の言葉ですが、偽りの鈍さ、ではなく、本当に鈍いほうが、幸せですよね
偽りの鈍さは、処世術のひとつというか、相手への思いやりとか、人間関係を円滑にいかせるためのように思います
・鈍感力 渡辺淳一
Amazonでは、星1つから5つまで分かれる本です
ある意味、星5つつける人は鈍感力に優れているような気がします('ω')ノ
これも、見事に評価が分かれます
座右の銘だ、と星5つの人、クソ本、騙されたと星1つの人
確かに、これは啓発本というか、一部分を切り取って、作者さんの考えを述べたものだと思います
でも、こういう本から入って、実際の哲学書に興味を持つのもいいと思うのですが、私には偽物の鈍感力はないので、この本の内容を会話の中で盛り込まれると、いやぁな顔をしてしまうかもしれません